ほんとにあった怖い話・K県自殺名所
今回のお話しは…
今から10年前にとある自殺名所と呼ばれる場所に肝試しにいった時のことです。
そこは地元の人でも一部の者しか知らないような場所でした。
何人もの人がそこに入っていったが、出て来れた人は居ない…その噂を聞き、自殺したい人が何人も死ぬ為に入る山奥へ繋がる道…
その道の事は私のお爺ちゃんが教えてくれました。
「あそこは絶対に行ったらダメだし死にたいと思ってる人には絶対教えちゃダメだよ。」
そんなお爺ちゃんの忠告むなしく、私は友達に例の自殺名所の事を話しました。
そして…
真夏の赤い満月の夜中2時過ぎ、後輩達を含む何人かで例の場所に肝試しとして自転車で向かうことになりました。
細い旧道を川沿いに自転車で進んで行くと、潰れた自動車学校がありました。
その自動車学校にも怖い話があります。
そこで男の子が監視塔から落ちて亡くなったらしいのです。
そこで写真を撮ると知らない男の子が写るらしい…。
誰からともなく、その自動車学校で一休みして心霊写真を撮る流れになりました。
入り口、監視塔の下、自動車学校の横にある川の近く…様々な場所で写真を撮ったのですが何も写りませんでした。
一休みも済み、目的の場所に向かう事になりました。
一人、二人、三人…人数を数えるとこの時点での人数は7人。
懐中電灯を持った二人、カメラを持った二人、飲み物を持った二人、帽子を持った一人の合計7人。
特に何もない田舎道を進んで行くと私の肩くらいの高さにある不自然な向きのカーブミラーと奥に進む道があったので、
そこを進んでみることにしました。
自転車では入れない道だったので、近くに自転車を置いて徒歩で進みました。
すると、道は途中で切れて進めなくなったので引き返す事に。
カーブミラーの横を通り過ぎようとした時…
私はタバコを吸う為に火を付けたのですが、その火がカーブミラーには映ってないのが見えました。
《気のせいかな?》
カーブミラーの前に立ち、火を付けて確かめたのですが…やはり映りません。
「どうしたの?」
私の後ろに居た帽子を持った私より背の高い子が聞いてきたので、
「何でもないよ。」
と答えました。
今、ここで話すのが怖かったのと、気のせいであって欲しいという思いからそう答えたのです。
そして自転車を置いていたところまで戻り、また進み始めた時、不思議な事に気付きました。
「いつの間にあいつ、あんな前に行ったんだろう?」
何となく気になったのですが、
特に深く考えることもなく、
そこから先は私しか道を知らないため、先頭で道案内をすることになりました。
カーブミラーから10分程進んだところで、山奥に繋がる入り口がありました。
右には崖、左には鬱蒼と生い茂る木々と雑草、何もない道にポツンと入り口はありました。
「これが例の自殺名所の入り口…」
「いかにもな感じ…」
「マジでヤバそう…」
太いしめ縄があり、
しめ縄をくくりつけた木にはお札が左右2枚ずつ貼られていて、
立ち入り禁止!と書いた紙も貼られていました。
怖かったものの、ここでやめたら来た意味がない!と覚悟を決め…進もうとするものの足が動きません。
「何やってんの?行かないの?」
皆に急かされるものの、どうしても足が動かず、本能的に中に入ったらヤバい!と強く感じるせいか焦っても体は言う事をきかず怖さは増すばかり…。
「やっぱり中に入るのやめよ?ヤバそうだし、色々寄り道したせいで門限まで時間もないしさ!」
私がそう言うと、皆もやはり怖かったのかあっさり帰る事になりました。
そして引き返す事になり、私は最後尾に。
皆の後を着いて行きながら、絶対に振り向いちゃいけない!と感じながらも好奇心に勝てず私が振り向いた瞬間…
ザザァー!と風が強く吹き、黒いモヤモヤしたものが目の前を走り抜けました。
そして次の瞬間…
私はこけました。
まるで何かに腕を引っ張られたかのように。
後、5センチ程で崖から落ちるとこでした。
たまたまそれを見てた何人かも、
「さっきのこけかた、ヤバくない?何かに引っ張られたみたいだった!」
「もう少しで崖から落ちてたぞ!」
「とにかくここから早く離れよう!」
その後は皆、何も喋らず、ただただ自転車をこいで逃げるように一番近い後輩の家に向かいました。
「皆、中に入った?」
「一人、二人、三人…全員で六人だよな?」
「え?七人だよ!」
「へ?」
「他にもう一人誰か居たっけ?」
「全員居ると思うけど…」
何回数えても六人だけだったのです。
でも…他にもう一人、帽子を持った子が居たはず。
「もう一人帽子持ってた子は?」
「今日、帽子かぶってた奴居る?」
「誰もかぶってないよ!」
「帽子持って行ってた奴すら居ないけど…」
「うそ…マジで?私が自動車学校で数えた時は七人だったよ?」
「数え間違いじゃない?俺もそこで数えたけど、六人だったよ。」
そう。その日は帽子を持ってた子なんか居なかったし全員で六人だったのです。
それと、私がもう一つ気になってたこと…
「ねぇあんた、いつの間に先頭に居たの?カーブミラーのとこでは最後尾に居たのに。」
「は?俺、ずっと先頭に居たしカーブミラーのとこで最後尾だったのお前だけど。」
今日行ったメンバーで私より背が高い子は一人だけだったので、
カーブミラーのとこで私に話しかけてきた子はそいつだと思ってたのです。
しかし、最後尾は私だった…。
じゃあカーブミラーのとこで話しかけてきた子は誰?
帽子を持ってたあの背の高い子は…?
あの子は一体……?
今でも思い出すと怖くなります。
あれ以来、誰もあの場所には近付いてないみたいですが…気にはなります。
居ないはずのもう一人、火が映らなかったカーブミラー、私の腕を崖へと引っ張った何か、走り抜けた黒いモヤモヤ…
一体何だったのでしょうね?
あれ以上進んでたらどうなってたのでしょうか…?